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Postprzez cfoqbazmc » Wt sie 12, 2014 15:54

しかし記憶をたぐると、確かに自分が誘った記憶がある。馬の腹帯が摩耗《まもう》していたので、取り替えねばならないのだ。聖リエージュ教国まで十四日間。ただ帰投行軍するだけならば持つだろうが、途中で何が起こるとも限らない。戦争があるとは思えないが、下手に盗賊団などとの戦闘になり、そこで腹帯が切れて落馬したとあっては命に関わる。そういう話をしていたら、ディードが「貴方は馬の乗り方も馬具の扱いも荒いんですよ」と小言を投げた上「おまけに馬具を選ぶ目も悪い」ととどめを刺してきたので、腹立ち紛れに「じゃあディードさんが選んでくださいよ」と返したのだ。「よくもまあ、それで惰眠をむさぼっていられますね」確かに文句を言われてもしょうがない。カーテンが閉まっていたから朝のように感じていたが見れば日は中天に近い。「わかったらさっさと着替えて、顔あらってください。食事は……外で済ませるほかありませんね」窓際から離れると、ディードはランシラスの前に立って矢継ぎ早に予定を並べ立て始める。ハミルトン 腕時計
それを聞いていたランシラスは、ふと手をとめてディードを見た。「ディードさん」「何です?」いつになく真剣に顔を見てくる友に対して、ディードは怪訝そうに眉を寄せた。「良い奥さんになれますよ」ぽろりと本音が出た瞬間、ディードが思いがけず微笑んだ。そして微笑んだまま、ランシラスの腹に強烈な拳をたたき込んだのは言うまでもなかった。「本気で殴りましたね」革製品の専門店でディードの言うままに……もとい、殴られた腹が痛く、ランシラスは何も言う気にも選ぶ気にもなれなかっただけなのだが……馬の腹帯と手入れをする為の革油を注文し、比較的落ち着いた雰囲気の小料理屋に腰を落ち着けるが早いか、ランシラスは檸檬《れもん》の輪切りが入った水のグラスを手にぼやいた。「空腹の時に殴られると、いつもより倍は痛いんですよ」少し痣になっているかもしれない、と鈍く疼《うず》く腹部に手を当てる。「満腹の時に殴って吐かれても困りますから」「そういう問題ですか?」微妙に論点が違うだろうと思いながらランシラスが聞き返すが、ディードは素知らぬ顔で通りを眺めながら、さらりとそういう問題です。と断言した。prada 財布
弱り切った白い小さな手が、汗に塗れたシーツの上を弱々しくまさぐる。何かを探すように絶え間なく、小刻みに震えながら。しかし子供は知っていた。どんなに探しても自分が望む者がいない事を。弱り、死の河へ足を踏み入れようとする子供の枕元には、入れ替わり立ち替わりに多くの人々が訪れた。目が痛くなるばかりの白い法衣を着込んだ見知らぬ司祭達が、途切れる事なく訪れていた。――この子供を死なせてはならぬ。刻印を我らが教国から失う事は許されぬ。最高政治指導者である教皇は、子供が熱病にかかったと知るが早いか典礼秘跡院《てんれいひせきいん》の司祭を呼びつけ、あらゆる聖導魔法をもって子供を熱病から奪い返すように厳命した。それからうなされる枕元に、次々に白い服の高位司祭があらわれては、死の世界へ飛翔しようとする子供の生命を必死に魔法の力で現世につなぎとめていた。またかすかな音がして、扉が開かれた。今、術を施している司祭と交代する為に新しい司祭がやってきたのだ。養父と養母はその度に、老いた腰が折れてしまうのではないかと思えるほど、恐縮しながら深々と頭をさげる。時計 人気
欲されていないのならば、問うのはやめようと。だがしかし、不思議な事に、熱にうなされた今、封じ込めた心の奥底がひどくもろくなっている今、子供はなんとしても母親に会いたくて仕方がなかった。かすれた喉から声をだし、母さんとその名を呼びたかった。しかしどれ程力を振り絞って息を吸い込んでも、喉はぜいぜいと気味の悪い息を吐き出すだけで、声はいつまでも出ない。ああ、やはり自分が母を求める事は、本当の母親を求める事は許されないのだ。潤む目の端から涙がこぼれ、頬をつたって枕をぬらした。欲されるままに学び、欲されるままに強くなり、欲されるままに笑い、欲されるままに嘆き、「欲されし者《テレートス》」の刻印の名の元に、その生き方を間違う事なく生きていく。あらゆる人々から欲され、望まれるままに成長した子供はそうやって。――自分が何を欲しているのか忘れた大人になった。まぶたの裏に柔らかく華やかな紅の光が踊っていた。それはまるで春に咲いたかぐわしい大輪の薔薇(ばら)のように美しく暖かい光で、まだどこか眠っているような耳に鳥の軽やかなさえずりが流れ込む。プラダ バッグ
第八話 ネルグランドの自由騎士(1)
夢の中で子供はいつも熱病にうなされていた。その熱病は遠い東の国、騎馬民族であるウィグル自治領帰りの隊商が、愛玩《あいがん》用として運んできた小猿から、瞬く間に西方諸国に、エル・エロール教の宗主国である聖リエージュ教国に広まった。病は老いた者を、ついで子供を容赦《ようしゃ》なく犯し、病は熱による衰弱の洗礼を与え続けた。貧しき家の子供にも、貴族の子供にも。そして刻印により選ばれた子供にも例外はなかった。子供は常に熱にうなされていた。表皮は燃え上がるほど熱いのに、体の芯はどこまでも冷えつき、汗をかいているにも関わらず、歯の根があわぬほど体は小刻みに震えていた。冬風が窓を叩く音が耳の奥でこだまし、獣の咆吼《ほうこう》に似た幻聴となり、どうしようもなく潤む瞳は物の輪郭(りんかく)を曖昧《あいまい》にし、頭がうずく度、白い天上に毒々しい原色の幻影が描き出され、ひどく視界と精神を翻弄《ほんろう》した。喉の奥が乾き、ひきつれ、壊れたやかんから漏れる蒸気のように、息はひゅるひゅると喉を鳴らした。miumiu 長財布 matelasse 5m0506
その事が子供にとってひどく申し訳なく、そして何故か腹立たしく感じられた。信心深く、貴族の中でも特に慎ましやかに暮らしていたヴァリエの老夫婦には子供がいなかった。刻印もつ子供は老夫婦の本当の子供ではなかった。しかし老夫婦は教皇より……神より授けられた刻印もつ子を、本当の子供のように厳しく、優しく、そして細心の注意をもって育てあげていた。だから子供は本当の父のように、母のようにこの老夫婦を愛していた。愛していたからこそ、老夫婦の期待に、老夫婦に教皇が、国が、自分に寄せる期待に応えるよう、いかなる努力も惜しまなかった。欲される全てに答えてきた。――子供はなおもかすかに手を動かしていた。会いたい者がいたのだ。名も、顔も、声すらも知らぬ本当の母親に。しかしそれは「望まれない望み」だった。かつて一度、子供は老夫婦に自分の本当の母親について尋ねた事があった。けれどヴァリエ家の老夫婦は答えず、ただ悲しげに目を落とし、沈黙した。その時に子供は悟ったのだ。自分の本当の母を望む事は欲されてはいないのだと。セイコー 腕時計
言い過ぎたか、とあわてて口をつぐむと、ディードはシーツを放すが早いかぶつぶつと口の中で不明瞭な言葉を紡いだ。「何故、バレたんですか」「……本当に寝ていたんですか、あなたは」呆れながらベッドから足を床におろす。絨毯《じゅうたん》の毛先が柔らかく足の裏を撫でる。その感触にかすかなくすぐったさを感じながら、ランシラスは夜着のボタンに指先を添えた。「どちらにしても文句を言われる筋合いはありません。最初に市街地へ行こうともちかけたのはランス、あなたですよ」相変わらず感情が欠けた平坦な口調で断言すると、ディードは窓際に歩み寄り、勢いよくカーテンを開いた。大量になだれ込んできた白い光をさける為、ランシラスは目の前に手をかざし、目の端でそろそろと窓の外を見た。あれほどの惨事があったとは考えられない、蒼く、雲一つない、収穫日和の秋空がどこまでも広がっている。「ああ、そういえばそうでした」昨日の事なのにまるで遠く感じられるのは、酒が入っていたからなのか、まだ頭が眠っているのか。アルマーニ 腕時計
通りを越えて見える大聖堂は、屋根の半分がひしゃげ、事件の爪痕《つめあと》をさらしてはいたが、市民は何事もなかったように市場で売り、買い、いつもの生活に立ち返っている。雑貨屋、下着屋、蝋燭《ろうそく》屋。絹商人に彫金師。香辛料を売る屋台からは胡椒《こしょう》や香草の刺激に富んだ香りが漂い、串焼きの屋台からは獣脂《じゅうし》が焦げるにおいがする。小料理屋の窓の前に陣取る果物の露天では、ランシラス達より幾ばくか若い娘が、自分の頬と同じ位鮮やかに紅く色づいた林檎《りんご》をかかげ、道行く人に声を投げかけている。――まるで何もなかったかのように、人々はあの事件を忘れ、そして日々の生活に紛れようとしている。どうかするとランシラス自身でさえ、自分たち聖騎士が何故このティハナンへやってきたのかを忘れそうになる。それほど、都の市はにぎわっていた。しかし、降りしきる雨の下、自分の腕の中で震えていた子供……「理解《シュネシス》」の刻印を継承してしまった五歳の子供、クロヴィス・ル・ポア幼男爵はティハナンにもういない。父と母、そして兄弟を一瞬にして失い、男爵家の管理権限すら聖リエージュ教国から派遣された司祭によって奪われた幼子は、刻印を継承したというその一点だけにおいて注目され、当たり前のように聖リエージュ教国へと身柄を移される事となった。人買いに攫《さら》われた子供のように、声が枯れるまで泣きわめいていたが、その事実は大人達によって故意に無視され、先発隊として、ランシラス達に五日先んじてティハナンを発った、アイオーン聖騎士団達の守る馬車に押し込められている。この国もまた。国境付近の別荘に避難し雷禍を逃れられた、王の甥である八歳になる男児を来月戴冠《たいかん》させ、大公女……王妹であるメディスを摂政《せっしょう》とする事がすでに決定し、聖リェージュ教国……つまり教会も承認していた。否、承認せざるを得なかったのだ。直系王族で生き残ったのはメディスの子か、あるいは齢七十を越えた先帝の弟しか残っていなかった。年老い、宮廷からも忘れ去られていた老いた王弟は、人々の欲が渦巻く宮廷を嫌い、使者が現れると早々に継承権を放棄する旨の書類を手渡した。となればもはや選択権はない。聖リエージュ教国としても国教がエル・エロール教であることが維持され、今まで通りの権利が保障されるのであれば、八歳どころか一歳の赤子が国王であってもかまわない。まして、雷禍により要人が死亡し、人的資源に被害を受けたのはティハナンだけではないのだ。他人のお家事情にくちばしを差し挟んでいる余裕など、無い。しかし、釈然としない何かがランシラスの心の奥底で渦巻いていた。あれは故意に起こされた事件だ。確かに今後、災害を調査し何者が引き起こしたのか……エル・エロール教の宗教裁判院《しゅうきょうさいばんいん》から異端審問官《いたんしんもんかん》が派遣され、調査されることになるのだから、ランシラスやディードの手から事件は離れてしまうのだが。それでも何か……たとえれば、雪解けの後に雪かきをしようとするかのような、手遅れた間抜けさを感じずにはいられなかった。何一つ証拠は残されていない、そんな気がした。運ばれてきた卵とほうれん草のキッシュをフォークでつつき、パイ生地の縁を意味もなく崩しながら考えていると、ディードがテーブルの上に両肘をつけ、手に顎を乗せてランシラスを見た。運ばれてきた料理やチーズにも手をつけず、フォークすら手に持たずディードはしばらくそうしてランシラスを見ていたが、やがてふっと唇をゆるめ、右手を胸元あたりでひらめかせた。「ランス、これが何かわかりますか?」手品師のように器用に動く指先に、金色の破片が差し挟まれていた。破片は窓から差し込む陽を受け、鮮やかな光の破片をまき散らす。よく見ようと目を細めた瞬間、ランシラスは息をのんだ。「プロスアキア大金貨」「そう、正解です」親指と人差し指の間で、器用に正十二角形の大振りの金貨を回しながら、ディードはうなずいた。「あの日、貴方と別れて門の閉鎖に向かった時に、南東の三番門でティハナンの兵士五名程に襲われまして」ディードの言葉にランシラスはフォークを取り落とした。非調和的で耳障りな音が鳴り響く。しかし昼もとうに過ぎ去っていた為か、席の近くに人はおらず、なじみなのか、カウンターに三人ばかりの女性が陣取り、店主とかしましく話し込んでいるだけで、ほかに客の姿はない。もっとも、誰かの注目を浴びるような場所であったならば、ディードはこの話を切りだしはしなかっただろうが。「間違いなく、ティハナンの兵士だったのですか?」「もちろん。間違いなく全員がティハナン北部出身のただの一兵卒の兵士でしたよ。軍籍が正しいならばね」淡々と続く言葉にランシラスは露骨に顔をしかめた。「その中の一人の遺体から出てきたんです」まるで知人から元気だという手紙が来た、とでもつげるようにディードは何の抑揚もなくつぶやいた。プロスアキア大金貨。それは極北の帝国で使用される高額貨幣《かへい》の一つであった。ほぼ純金で精製されている金貨は、貨幣としてだけではなく宝飾財産の一つとして、ネルグランド連合国を始め、大陸全土の資産家からもてはやされ流通している。たとえば、この金貨がディードの手から出てきたというのならば、ランシラスはさして驚きはしなかった。数は少ないとはいえ、聖リエージュ教国においても商人から……あるいは、過去の戦争の戦利品として、保管され、恩賞として下賜《かし》、流通していた事もあったからだ。だが、ティハナンの、貴族でも士官でもないただの兵士が持っているなどあり得ない。軽く見積もっても、三ヶ月分の給与に値する。「ここからは推測ですがね、ランス。この金貨を手にした兵士は一人や二人ではない筈です」目を細め、ディードは金貨を人差し指と中指でつまむとテーブルに音を立てて置いて見せた。その仕草は、戦略会議の卓に広げられた地図に、敵を打破する部隊の駒を置く手つきにひどく似ていた。「我々が入城する数日前、暴動まだ明け暮れぬ頃。南東の三番門を警備する衛兵の一部が下士官や将校の制止を無視し、禁じられていた色事酒場に盛んに出入りしていたとか。まあそれだけならよくある話です。聖リェージュの兵士達だったとしても、ね」くっ、とディードの喉が鳴る。しかし藍色の瞳の奥に宿る光は鋭く、何気なさを装う彼の表情の全てを裏切っていた。「まずいのは、彼らがそこで分不相応の勘定を現金で支払ったという事です。そしてその中にもプロスアキア金貨が含まれていた」鋭すぎるディードの視線から逃れる為に、ランシラスは視線をテーブルの上に落とした。極北の帝国を立てたという青年の姿が刻まれた金貨は、午後の緩やかな光を受けて静かに輝いている。全てを聞くまでもなかった。兵士は買収されていたのだ、中で雷禍を手引きした何者かを逃がす為。そして予想より早く現れ、門を閉鎖しろと命令してきた聖騎士を邪魔者として消そうとした。――不幸なのは、相手がただの聖騎士ではなくディードルード・デュ・カーリオンであった事だったろう。聖騎士団の中隊長となる前は、聖リエージュ教国がかかげる「エル・エロール教」の教えに精通し、神の教えに一筋の疑念も持たぬ聖騎士の中の聖騎士、最優秀たる者しか入る事を許されぬ査問部《さもんぶ》に籍を置き、異端審問武官《いたんしんもんぶかん》として、他者の罪を暴き、裁く事を教皇より許されていたのだ。ランシラスであっても、刻印の力なしにディードルードと相対すれば、無事でいられる自信はない。たとえ五人でかかったとしても、並の者が適う相手ではない。背筋をつたって、寒気が頭の奥まで入り込む。怖気からため息をつくと、ディードは非難するように軽く唇をかんだ。「しくじったのは一人だけです。さすがに一斉に五人から不意打ちされては、全員を生け捕りする余裕はありませんから。手荒くなるのはどうしようもないですがね」とうに冷めた料理の皿を引き寄せ、ディードはフォークを手にとった。「まあそれも無駄に終わりましたが」唇をとがらせたまま、うつむき、機械的な動きでディードは料理を口に運ぶ。「無駄に……それは」「愚問ですよ、ランス。聖リェージュ国内でもないこの地で、私達に一時的な拘束権《こうそくけん》以上の権限ががあると思いますか? 異端審問官でもないのに?」葡萄酒《ぶどうしゅ》の入ったグラスを、窓の外の陽光に向かってディードは掲げた。紅く染まった光がテーブルの上に、金貨の上に降り落ちる。それはどこか血にも似た紅さで、不吉な色をしていた。「私が与えた傷が元で失血死、あるいは敗血病《はいけつびょう》死だとか……冗談じゃありません」言葉を切り、グラスの中身をあおると心底侮蔑《ぶべつ》しきった声でディードは吐き捨てた。「どこを刺せば死ぬかぐらいはちゃんと理解しています。幸い、死なない程度に治癒《ちゆ》する魔法も体得していますしね」音をたて空になったグラスをテーブルに戻すと、ディードは鼻を鳴らした。「食事時の話題じゃありませんがね、ランス。死んだ兵士の一人が、城壁沿いの共同墓地に埋葬《まいそう》されるのを見ましたが、ひどく黄色くて干涸らびた遺体でしたよ」ランシラスは顔をしかめたまま、手を口元に当てた。あの日は雨だった、その翌日も、翌々日も。ようやく晴れたのはここ四日の事で。つまり傷が元で死んだなら遺体が乾燥する筈もない。浮かび上がってきた懸念を裏付けるように、ディードはランシラスを真っ向から見つめ、うなずいた。「そう『狂踊《きょうよう》の帝王』――砒素《ひそ》化合物による脱水および中毒死です」かつて異端審問武官として、貴族の毒殺事件や暗殺事件を調査してきたディードが断言したのだ。その信憑性《しんぴょうせい》は高い。だが問題はそこではなかった。使われたのが『狂踊の帝王』と呼ばれる毒……一般の庶民にはまだ知られていない鉱物性の合成毒だということだ。腐敗毒である屍毒や、毒草マンドラゴラなどの植物毒ではなく、鉱物性の、しかも調合した毒。貴族しか未だ手にできない高価な毒をもって殺されたというのだ。「まさか……大公女が……いや、しかし」「ランス、プロスアキア金貨と毒。この二つを結びつけてごらんなさい」できが悪い教え子に諭すような柔らかな口調でディードが促す。「大公女が外国の大貴族、もしくは王族と共謀して現体制を破滅させたと?」「その可能性が高い、と私は考えています。もっとも、異端審問官が調査に来る前に全ての証拠は握りつぶされるでしょうから、真実を証明することは不可能に近いと想いますが」「となると、援助したのは……ラフラダ、カナン・クレアダ、ケルケアク……いや、違うな。隣国と手を結んで手にいれた王座など、いずれ付け入られる」謀殺《ぼうさつ》共謀の事実を弱みに強請《ゆす》られるか、あるいは、謀殺を噂の風に載せ、内部から揺さぶりをかけ、弱った所を攻め入られるか。どちらにしてもラフラダ王国は平和主義であり、ここ数十年どこの戦争にも荷担してはいないし、ケルケアク皇国やカナン・クレアダ二重帝国と手を組むなど、自分から猛獣の口に飛び込むようなものだ。であるならば、ほかにプロスアキア金貨が高く流通しており、聖リェージュ教国あるいはティハナン王国が弱体化して得する国、あるいは組織は。「ネルグランド連合国、あるいはプロスアキア帝国ですか」ランシラスの言葉に、ディードは腕を組んで肩をすくめた。「そうなるでしょうね。ならばこの事件がどう仕組まれたかは最早些末《さまつ》な問題でしかありません」おそらくこれはきっかけだ。雷禍が奪った命でさえ、始まりの灯火にすぎないのだ。喉の奥が乾いて、声がかすかにかすれた。ランシラスは陽光でぬるくなった葡萄酒のグラスを手にとり、中身を一気にあおった。「戦いが、あるというのですか」「さあ……神ならぬ身ゆえ、愚かしい私の妄想であるならば良いのですが」受け流すように緩やかに言葉を告げると、ディードは藍色の冷めた瞳を静かに金貨に向けた。テーブルの上にある金貨は、その上に刻まれた極北の帝国の王であった男の瞳はただ虚ろに。二人の聖騎士の視線を受け止めていた。http://www.watch.neptec-technologies.com手足はどこかけだるかったが、身体は乾いた清潔なシーツと毛布の暖かさに心地よく包まれていた。覚醒《かくせい》しきれていないぼんやりとした意識は未だまどろみの中にあり、ランシラスはもうしばらく余韻に浸ろうと、毛布を引き寄せ、再び意識を眠りの地へ追いやろうとした。刹那。乾いた音がするが早いか、毛布ごとシーツがめくりあげられ、秋の冷気が一斉になだれ込んできた。「うわっ」眠りの世界から乱暴な方法で蹴り出されたランシラスは、驚きに目を見開いた。何度も瞬きを繰り返し、ここが聖リエージュ教国の自宅の寝室ではなく、ティハナン王宮内に用意されていた部屋だということを認識するが早いか、まだ混乱する頭を押さえ起きあがった。金の髪が肩から滑り落ち、窓から入る光を乱反射しては、からかうように様々な光の破片を瞳に投げかける。ランシラスは両手で額を押し上げて、ため息をついた。「何をするんですか、ディードさん……」「それはこちらの台詞です。いつまで惰眠《だみん》をむさぼっているつもりですか。ランシラスさん」高級腕時計恨めしげにベッドの横に視線を走らせると、そこには、聖リエージュ教国の白い軍服を着た黒髪の青年が、これ見よがしに眉間にしわをよせ、片手に毛布を握りしめたまま傲然《ごうぜん》と立っていた。「勘弁してください……今日ぐらいはかまわないでしょう」そうだ。あの大聖堂で起こった雷禍《らいか》から二週間。ほとんど不眠不休で瓦礫《がれき》の撤去や、被害者の救出、怪我人の手当、果ては被害を本国に知らせる為の報告書作成から、帰国の為の再部隊編成、緊急の外交折衝《がいこうせっしょう》までやらされていたのだ。ようやく一息つき、明日の帰国に備え休日が取れたというのに、何が悲しくて朝早くに起こされなければならないのだ。寝乱れた髪をぐしゃりと手でかき混ぜ、不満をそのままに唇をとがらせる。「だいたい私はディードさんと違って、会議中に目をあけたまま寝るなんて特技を持ち合わせていませんから、睡眠時間が全く足りてないんですよ」毒づいてみせた途端、ディードがひくりと左眉を持ち上げて見せた。miumiu アウトレット
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Postprzez » Wt sie 12, 2014 15:54

 

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